事例①:職場の人間関係に疲れていた40代女性
Before:来室時の状態
長年勤めていた職場で、人間関係のストレスを強く感じていました。
特定の同僚に対してイライラが止まらず、
「自分が悪いのか」「相手が理不尽なのか」分からなくなるほど心が疲弊していました。
仕事は続けたい気持ちがある一方で、
心身のバランスを崩し、眠りが浅くなることも増えていました。
Process:カウンセリングでの気づきと変化のプロセス
心理統合カウンセリングでは、
まず「なぜ自分は相手の言動にこれほど反応してしまうのか」を一緒に丁寧に見ていきました。
その中で、彼女が抱いていた “自分はちゃんとしなければならない” という強い信念に気づきました。
相手の何気ない一言が、その信念を刺激し「責められた」と感じていたのです。
セッションでは、身体の反応を通してその緊張を解いていくことで、
頭で理解していたことが“感覚として”ゆるみ始めました。
「相手を変えようとしていたけれど、
本当は“ちゃんとしなければ”と自分を縛っていた」と気づかれた瞬間、
身体の力がすっと抜けたのが印象的でした。
After:心の変化と今の状態
現在は、職場で同じ出来事が起きても、
「相手の言葉を自分の評価と結びつけない」感覚が自然に身についています。
以前よりも心の揺れが少なくなり、
「自分のままで大丈夫」という穏やかな安心感を感じられるようになったとお話しされています。
人間関係を変えるのではなく、自分の内側の構造を理解することで、
現実の見え方そのものが変わっていった事例です。
事例②:不眠に悩んでいた40代男性
Before:来室時の状態
半年ほど前から寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めてしまう状態が続いていました。
仕事のプレッシャーと家庭での責任感の板挟みで、「常に気を張っている」感覚が抜けず、
休んでいても頭の中では仕事のことを考えてしまうとのことでした。
病院で検査をしても異常はなく、「気の持ちよう」と言われたことでさらに落ち込み、
自分でもどうしていいか分からないとご相談くださいました。
Process:カウンセリングでの気づきと変化のプロセス
心理統合カウンセリングでは、
“眠れないこと”を問題とするのではなく、
「なぜ心と身体が休めないのか」という構造を一緒に探りました。
話を進める中で、“休む=怠けている”という無意識の信念があることが明らかになりました。
彼は幼いころから「努力してこそ価値がある」と教えられてきた経験があり、
眠ることさえも“何かをしていない自分”として罪悪感を感じていたのです。
セッションでは、身体の反応を通して“休んでいい”という感覚を少しずつ思い出していきました。
その過程で呼吸が深くなり、目の奥の緊張がゆるむのが感じられました。
After:心の変化と今の状態
2回目のセッション以降、徐々に入眠までの時間が短くなり、
「眠ろうとしなくても、自然と眠れる日が増えた」と報告を受けました。
彼は「眠ることはサボることではなく、整える時間なんだ」と理解が変化し、
日中も必要以上に頑張りすぎることが減ったと話されています。
いまでは、心身の緊張が生じても“自分のサイン”として捉えられるようになり、
不眠を通して“自分を責める構造”に気づけたことが大きな転機になりました。
事例③:将来に不安を感じていた30代女性
Before:来室時の状態
「このままでいいのか」と漠然とした不安を感じながらも、
何をしたいのか、何が好きなのかが分からず立ち止まっていました。
仕事も人間関係も大きな問題はないのに、
どこか“空虚さ”のようなものが常に胸の奥にあり、
SNSなどで他人の生活を見るたびに自分を比較して苦しくなるという状態でした。
Process:カウンセリングでの気づきと変化のプロセス
心理統合カウンセリングでは、
まず「不安」という感情の下に隠れている“意味づけの構造”を一緒に見ていきました。
話を進めるうちに、彼女の中には「常に何かを達成していなければ価値がない」という思いがあることが分かりました。
それが、“今の自分では足りない”という感覚を生み出していたのです。
セッションでは、身体の反応を手がかりに、
「何かをしていない自分」でも落ち着ける感覚を取り戻していきました。
肩や胸のあたりにあった緊張がゆるみ、
「本当は焦らなくても、私の中にすでにあるものがある」
という静かな確信が生まれていきました。
After:心の変化と今の状態
セッション後、「将来を考えるときに、焦りではなく選択の自由を感じられるようになった」とお話しされました。
何かを“得るため”ではなく、“今ある感覚を感じること”が自然にできるようになり、
周囲との比較が減って日常の中に安心が戻ってきたとのことです。
彼女にとっての統合とは、“何者かにならなくても大丈夫”と心から感じられるようになったこと。
それが新しい一歩を踏み出すための静かな原動力となりました。